渋谷区の社会保険労務士の高山英哲です。

「同一労働同一賃金と言われても、難しくてよくわかんないよ!」という悲鳴を、よく聞きます。

昨年の12月に出た「同一労働同一賃金ガイドライン案」を読んでも、よくわからない。

ニュース、新聞、SNSでよく目にとまり、耳にも入ってくるけど、理解できない。

そこで、本日は「同一労働同一賃金」のポイントを3つに絞って、あなたと一緒に、考えていきたいと思います。

そもそも「同一労働同一賃金」とは? 【ポイント1】

そもそも「同一労働同一賃金」とは?

ズバリ!「同一労働同一賃金」とは、同じ労働に対して同じ賃金を支払うべきという考え方です。

なお、EU諸国においては、性別・人種などの個人の意志・努力では変えられません。
属性等を理由とする差別的取扱いを禁止することは原則、概念として確立しています。

日本では、非正規雇用労働者に対して、不合理な労働条件、待遇について差別的取り扱いを禁止を労働諸法令で定めています。

次に、日本での労働契約法、パートタイム労働法と「同一労働同一賃金」の現行制度について、をみてみましょう。

労働契約法第20条、パートタイム労働法第8条、9条を考察する 【ポイント2】

現在、労働契約法、パートタイム労働法で、次のように明示されています。
パート、契約社員に対して、不合理な労働条件、待遇について差別的取り扱いを禁止しています。

労働契約法第20条 (期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において 「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない

パートタイム労働法第8条(短時間労働者の待遇の原則

事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

パートタイム労働法第9条(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止

事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十条第項において「職務内容同短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚蝕恒設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

これをみると、けっこう厳しく明示されていますね。
最後に「同一労働同一賃金」の現行制度を整理します。

日本における「同一労働同一賃金」に関する法制度の中心的な規定。
2種類
を、あらかじめ確認してみましょう。

「同一労働同一賃金」の現行制度を整理する! 【ポイント3】
 均等待遇に関する規定 均衡待遇に関する主な規定
根拠規定パートタイム労働法第9条パートタイム労働法第8条
労働契約法第20条
対象労働者通常の労働者と同一のパートタイム労働者すべてのパートタイム労働者、
有期契約労働者
同一労働者、
パートタイム
労働者、
有期契約労働者の定義
①職務内容(業務内容・責任の程度)
②人材活用の仕組み(職務内容・配置変更の範囲)
③運用が通常の労働者と同じ
①勤め先での呼称が「パート」である者
②期間の定めがある者
③パートタイム労働者と有期契約労働者は一部重複
禁止内容待遇について(通常労働者と比較し)、差別的取扱いをしてはならない 通常の労働者との待遇の相違は、
職務内容(業務内容・責任の程度)、
人材活用の仕組み(職務内容・配置
変更の範囲)及び運用その他の事情を考慮して不合理であってはならない。
 司法判断行政判断の根拠法規となり得る行政判断の根拠法規となり得る
 行政適用行政指導の対象となり得る行政指導の対象ではない 

いかがですか?

今回は、「同一労働同一賃金」3つのポイントに絞って整理をしました。

平成28 年12 月20 日政府よりガイドライン案が示されました。
同一労働同一賃金ガイドライン案

このガイドライン案作成の目的は、次の3点です。

①パート、契約社員など、全ての雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けることができる
②多様な働き方を自由に選択できるようにする
③【非正規】という言葉を一掃する

ガイドライン案では、基本的に正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を認めないとした、具体例を示しています。少し混乱もしますが。。

そこで次回は、ガイドライン案を、整理していきます。

渋谷区の社会保険労務士の高山英哲でした。

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