渋谷の社労士です。
こんにちは、高山英哲です。
あなたと、今回学ぶことは、
「採用時には、身元保証書を提出させるべきか」否か、である。
身元保証書WORD形式ワード(Microsoft Word)
人を採用するのは、大袈裟にいうと、一大事業だ。
なぜなら、従業員が一人増えることで、
給与だけでなく、労災保険、雇用保険、
健康保険、厚生年金保険といった社会保険料も身元保証書WORD形式ワード(Microsoft Word)
考慮しなければならないからだ。
それとは直接関係はないが、
飲食業・外食産業では、採用時、
身元保証書を、求めている企業が多い。
あなたの店舗では、どうか。
すでに「身元保証書」管理が完璧な企業もあれば、
これからといった事業所も、あるだろう。
人手不足時代の雇用状況を考えると、
初めて外国籍の新入社員の採用や
親族との関係が不和のことで、
身元保証書の提出が、困難な従業員も出てきている。
このような時代の流れの中で、
このブログを今、お読みの、あなたは「身元保証書を提出させたい。でも、昨今の雇用情勢を踏まえたら、身元保証書は、必要ないのでは。。」
と思いながらも、もし「万が一、従業員の責に基づく損害が生じ、た場合、」と。そんな思いを抱えているのでは、ないだろうか。
そこで、今回は、あなたと「採用時には、
身元保証書を提出させるべきか?」の課題を摘出し、
実現可能性を高めるための方法を、
考察をしていく。
私たちで、意見交換をしながら、
ステップ・バイ・ステップで、すすめていく。
特に今まで「身元保証書」の問題点を、
理解していない場合、必ず大きな知識を、
私たちは得るはずだ。
早速、チェックしていこう。
ステップ1= 「身元保証書」の正体とは?
身元保証契約とは、使用者と身元保証人との間で、
採用される労働者本人の行為によって、
使用者が被ることのある損害を賠償することを保証する契約だ。
日本では慣行として、採用時に労働者に対して、
身元保証書の提出を求めることが多い。
雇用契約の観点では、身元保証とは、
従業員の行為によって使用者に損害が、
生じた場合にこれを、賠償することを内容とする合意だ
(身元保証二関スル法律〔以下、身元保証法〕1条)。
なお、ここでいう身元保証は、出入国管理、
難民認定法上の身元保証とは異なる。
身元保証人の責任が重くなり過ぎないよう、日本では、
身元保証法が身元保証人の責任等について、
一定の制限を課している。
保証人には、両親、親族のほか、親族以外の者が求められる場合もある。
保証人の人数については、複数名の保証を求められる場合もある。
こに企業の考え方によって、まちまちだ。
労働基準法をはじめとした、労働法の中で、
この「身元保証書」に関しての条文は、ない。
それでは、保証人になった者の、
保証人の責任権限とは、どのようなものか。
これについては、次のファクターで、
解説していこう。
1-1 身元保証書で、あるある、質問
あなたが、採用する従業員に対して、
身元保証書を求めた場合、よく質問される、
ことがある。
それは、何か。
そのこたえは、ズバリ!
身元保証人の「責任権限」だ。
身元保証書には、「本人の故意または過失により会社に
生じた一切の損害を保証します」と記載されている。
つまり、身元保証人が広範な責任を負う、
形式になっている場合が多い。
しかし、身元保証の場合、金銭債務の保証と異なり、
保証金額が示されていから、身元保証書は採用時に、
提出する「形式的な書類」と認識されていることが多い。
このことから、身元保証人は書面記載の広範囲な責任負担を
覚悟せずに保証していることが多い。
だから、「身元保証二関スル法律」は、身元保証人の責任を
適正範囲にとどめるため、制限を設けている。
1-2 保証人の責任制限とは、何か
それでは、引き続き、解説しょう。
具体的な、保証人の責任制限はこうだ。
☑①期間:身元保証契約の期間は5年を超えることができない。
これより長い期間を定めても5年に短縮される(同法2条1項)。
また、自動更新の定めは無効と解される。
期間を定めなかったときは、
原則として契約のときから3年有効とされる〔同法1条〕。
☑②更新:身元保証契約の更新は、更新時より
5年を超えることができない(同法2条2項)。
☑③損害賠價金額の限定:身元保証人の損害賠倡責任は、
使用者の過失の有無、身元保証を引き受けるに至った経緯、
身元保証人の注意の程度、労働者の任務一身上の
変化等一切の事情を考慮して裁判所が決定する(同法5条)。
☑④強行法規:①から④の点について、身元保証人にとって
不利な特約をしても、その特約は無効とされる(同法6条)。
この結果みると、そもそも、制度を知らない企業も多いが、
4割を超えている。
このような、制限を理解することで、
ワンランク上の、「身元保証書」実務の対応が可能となる、
ステップ2= あなたの会社が、採用者に、身元保証書を求める理由は、何か?
前述のとおり、身元保証人は無限に
責任を負うわけではない。
「身元保証二関スル法律」に定められた、
範囲内でしか責任を負わない。
この点を、間違わないで、ほしい。
引き続き、チェックしていく。
2-1 書面の身元保証書の提出の意義
身元保証契約を行う場合には、まず、
法的な身元保証契約と認められない、事態を防ぐために必要だ。
これが身元保証契約である。
したがって、身元保証契約の旨明記した
独立の書面を提出させるべきだ。
(東京地裁昭40.12.23判決 判夕188号160ページ参照)
2-2 実効性の担保
身元保証契約の実効性を高めたい場合、
以下の方法が考えられる。
☑①一定の資力を有する者を身元保証人の条件とすること
☑②身元保証人の信用性(資力、資産の所在、生活の本拠が日本にあるか等)を確認すること
☑③身元保証人の保証の意思を確認すること(身元保証人本人の署名を求めることや、押印に加えて印鑑証明書の提出を求めること等)
①および②は、いざ保証の履行を
要求したいと考えたときに、
連絡がとれない、財産が存在しないといった、
事態を防止する趣旨だ。
③は身元保証人とされている者につき、
実は身元保証の意思がなかったといった
トラブルを起こさないためにも
非常に重要だ。
2-3 外国人労働者との関係
身元保証法は外国人にも適用されると考えられる。
法的には、外国人労働者に対する身元保証も、
外国人が身元保証人になることも、
日本人と同じだからだ。
そのため、外国人労働者も、
身元保証を求めることは、意味がある。
でも、もともとの生活の本拠が日本にない、
外国人労働者の場合、身元保証人として、
十分な資力を有する者が見当たらず、
身元保証書を提出できない可能性も考えらる。
外国人労働者に身元保証を求めることが、
難しい場合も予想される。
ステップ3= 身元保証人は、使用者損害の全ての責任を負うのか?
ここで触れておきたいことがある。
それは、身元保証の制限と限界のことだ。
身元保証契約は、身元保証法上、最長で5年(期間を定めない場合は3年)だ(身元保証法1条・2条1項)。
契約は更新できるが、更新後の期間も最長で5年だ(同法2条2項)。
自動更新条項は無効であると判示された例がある
(東京地裁昭45. 2. 3判決判夕247号280ページ)。
したがって、更新する場合は、期間満了の都度、
契約を結び直すことが必要だ。
身元保証人の責任の限界については、
身元保証人は、労働者の行為により、
使用者が被った損害すべての責任を負うわけではない。
つまり、身元保証人の責任は、使用者の過失の有無、
身元保証人が身元保証をなすに至った事由等の
一切の事情を斟酌し、裁判所がその賠償額を
決定することができるとされている(身元保証法5条)。
このことから、裁判で身元保証人が損害賠償責任を、
負うこととなったとしても、裁判所が認める賠償額は、
会社の請求額から相応の減額がなされたものになることが
予想される。
そもそも身元保証契約は人的な信用に基づく保証だ。
それゆえ保証人の資力が低下することなど、
身元保証契約締結後の事情で、
身元保証の実効性が十分でなくなる場合も予想される。
以上のことから、いえることは何か。
事実上、身元保証人は、使用者損害の「全責任」を
負うことには、限界がある、ということだ。
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最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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