社会保険労務士,渋谷区の高山です。
こんにちは。
本日は業務命令で行った「花火の場所とり中の喧嘩(ケンカ)で負傷は、労災なのか」を考えていく。
私の事務所でも終業時刻後に花火を観賞することがある。
あなたの飲食店でも、お客様にも声をかけ、店舗近くで花火を観賞会を開催することがあるだろう。
通常場所取りのために、スタッフを終業時刻より早めに出発させる。
会場となるの一画でその場で待機を業務として命じているからだ。
では、このような場所取り中に、その近くの一般訪問者とトラブルを生じ、相手方から殴られ負傷したような場合どうなるだろうか。
あなたは、どう思いますか?
労災の業務災害と認められるのか。
そこで今回は、私たちでともに考えてみましょう。
労災の業務災害と認められる理由は、何か
労災保険の業務災害と認められるためには、発生した傷病等が「業務上」のものと認められることが必要である。
「業務上」と認められるには、裁判例や行政解釈では、当該傷病等が①業務遂行中に(業務遂行性)かつ②業務に起因して(業務起因性) 発生したものであることが必要とされている。
つまり、2つの要件で判断することになる。
もう少し具体的に説明しよう。
①「業務遂行性」とは、【具体的な業務の遂行中】という狭い意味ではなく労働者が労働契約を基礎として形成される使用者の支配下ないし管理下にあること。
②「業務起因性」とは、業務または業務行為を含めて、「労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることに伴う危険が現実
化したものと経験則上認められる」客観的な因果関係(相当因果関係)が存在すること。
「業務遂行性」がなければ「業務起因性」は成立しないという考え方も成り立つ。
あなたと考える,花火観賞会の正体 業務遂行性は肯定or否定
あなたは、こう考えるかもしれない。
「「業務遂行性」と「業務起因性」はわかったから。。つべこべ言わずに、早く結論を言えよ!」
それでは解説しよう。
今回の花火観賞会は、店舗主催の事業と考えられる。
場所とりは、終業時刻より早めに出発させ開宴までその場で待機している。
ということは、待機は店舗責任者からのが業務命令である。
このことから業務性は高い。
業務遂行性は肯定されると、いえるだろう。
花火の場所とり中の喧嘩(ケンカ)で負傷 業務起因性を、斬る
あなたの結論は、こうかもしれない。
「わかった。じゃあ労災ね」
チョット待った!
最初に私が言ったことを、思い出してほしい。
「「業務上」と認められるには①業務遂行中に(業務遂行性)かつ②業務に起因して(業務起因性)発生したものであることが必要とされている」ことを。
もう1つの要件、(業務起因性)を説明するから、もう少しお付き合いいただきたい。
業務遂行性が認められる仕事中の災害は、原則的に業務起因性が認められる。
しかしながら自然現象、他人の故意行為、本人の私的逸脱行為、規律違反行為などの場合は業務起因性は認められない。
一方、逸脱行為であっても職務内容などの合理性、必要性が認められる場合は特別な事情のない限り業務起因性が認めらる。
今回のように、花火の場所とり中の喧嘩(ケンカ)で暴力を振るわれて負傷した場合、仕事上で必要な注意をしたところ相手がキレタ事案などは,労災と認定される可能性が高くなる。
そうは言っても必要以上に相手を挑発、刺激したりした結果、認められない可能性が高くなる。
さらに、まったくの私怨による場合には業務起因性は否定される。
つまり私があなたに言いたいことは、人の感情が同居した事故が、労災になることは、有り得ないということだ。
業務中、社員が殴られること
花火の場所とり役の社員が殴られるに至った原因。
花火観賞の場所とり行為自体が「理由なく積極的に妨害があった」とすれば業務起因性が認められる可能性はゼロでは、ない。
しかし花火鑑賞会の場所とりで、全く知らない人から、いきなり一方的に殴られて負傷することは、まず起こり得ない。
殴られて負傷したことは、通常業務行為によってではなく私的怨恨、喧嘩、闘争によって至ったものと考えるのが普通である。このことから業務起因性が認められる可能性は低いと考えられる。
したがって、花火の場所とり中の喧嘩(ケンカ)での負傷は、業務上の災害と認められる可能性は低いといえる。
社会保険労務士、渋谷区の高山英哲でした。
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