●東京タワー オカンとボクと、時々、オトン
●出演
オダギリジョー
樹木希林
内田也哉子
松たか子
小林薫
心地よい、風のように
流れる【ボク】の ナレーション。
邪魔せずに、多くを語らないから。
かえって、それが心に染みてくる。
素晴らしく、感動する人生を
描いたわけでもないし。
壮絶な一生を、語るわけでもない。
メチャクチャに、笑いのシーンもなければ、
号泣するシーンもない。
どこにでもいる
ごくごく普通で、だらしない【ボク】を
オダギリジョーが見事に
演じきっている。
しばらく会っていなかった
【オトン】役の小林薫が
病院に見舞いに来る時。
美容師に、髪を綺麗に整えてもらい。
つけなれない指輪をして、照れる母。
母から「女」へ変わる
【オカン】役の樹木希林。
嬉しさを、隠しきれない、
少女のような輝きは、本当に微笑ましい。
その後の、抗がん剤治療の副作用に
耐えるシーンは
目を背けたくなる。
つま先から、髪の毛まで
苦しさが、伝わってくるから。
いつかは、老いていく 母。
そして、手を引いて歩く存在になる。
目を逸らしていても
現実に、必ずやってくる日がある。
ただの、マザコン映画だ!
そんな、声も聞こえてくるが。
母への優しさを、忘れた男は
自立した男ではないこと。
映画館を出た後に
気づかせてくれる 映画だ。