トラック・バス・タクシーなど運送業の法令違反概要
今回、あなたと学ぶのは「厚生労働省:労働局が運送会社へ行った監督指導の内容」だ。
労働基準監督署または労働局が行う、運送業への監督指導内容は、そこではたらく皆様にとっては、気になるはなしである。とくに労働基準法違反と指摘された場合はダメージが大きい。
運送業界にとっては、昨今の課題として、長時間労働がある。さらに変形労働時間制に伴う、労働時間制度を運用すると、休憩時間を労働時間の途中に与えているのか、といった監査が入ることだってる。
とくに、労働基準法を遵守する必要がある運送業で、まず最初に気をつけることは、36協定の締結だ。労基署の監査でこの36協定の締結にかかわらず、労働基準監督署へ届出も必ずチェックされる。
そこで、今回は、あなと、厚生労働省が公表した「自動車運転者を使用する事業場に対する平成29年の監督指導、送検等の状況」をチェックする。
厚生労働省:自動車運転者を使用する事業場に対する平成29年の監督指導、送検等の状況を公表しますhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00652.html
- 自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況(平成29年)
- https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000340284.pdf
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」について
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000340255.pdf
厚生労働省が発表した、全国の労働局や労働基準監督署の監督指導の結果とは
厚生労働省は、全国の労働局や労働基準監督署の監督指導の結果を発表した。
具体的な内容は「2017年にトラックやバス、タクシーなどの運送業の事業所の約84%(前年比1.1ポイント増)で、長時間労働などの法令違反」をまとめたものだ。指導の対象は5,436カ所で4,564カ所で法令違反があった。違法残業などの長時間労働が3,162カ所と最も多く、賃金未払い関連の違反も1,171の事業所で確認した。
このような数字をみて、あなたは、どう考えるか。
運送業にも、当然、働き方改革が、叫ばれている。
違反率が8割を超える状況が続いている中で、法令違反を是正する、アクションは早急に考えていく必要がある。
平成29年の監督指導・送検の概要
引き続き、解説していこう。平成29年の監督指導・送検の概要は、こうだ。
監督指導を実施した事業場は5,436事業場
このうち、労働基準関係法令違反が認められたのは、4,564事業場(84.0%)。
また、改善基準告示※違反が認められたのは、3,516事業場(64.7%)
主な労働基準関係法令違反事項は、
(1)労働時間(58.2%)、(2)割増賃金の支払(21.5%)、(3)休日(4.6%)
主な改善基準告示違反事項は、
(1)最大拘束時間(49.1%)、(2)総拘束時間(44.0%)、(3)休息期間(34.0%)
重大・悪質な労働基準関係法令違反
重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは61件
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」
最後は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に触れる。
運送業に携わる、あなたならば、必ずチェックしておく必要がる、内容だ。必ず押さえておこう。
趣旨
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)は、バス、トラック、タクシーなどの自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため、その業務の特性から、すべての産業に適用される労働基準法では規制が難しい拘束時間(始業時刻から終業時刻までの時間(休憩時間を含む。))、休息期間(勤務と次の勤務の間の自由な時間)、運転時間等の基準を、平成元年に、大臣告示として制定。
制定の経緯
㋹労働時間等の改善を定めた局長通達の策定(昭和42年)
↓
㋹長時間労働、交通事故の増加
㋹路面運送における労働時間及び休息期間に関するILO条約の採択(昭和54年):運転時間上限1日9時間、1週間48時間
↓
㋹拘束時間、休息期間等の基準を定めた局長通達の策定(昭和54年)
内容
拘束時間 | 総拘束時間 | トラック: 原則1か月293時間 バス: 原則4週間平均で1週間65時間 タクシー: 原則1か月299時間 |
休息期間 | 最大拘束時間 | トラック、バス、タクシー: 原則1日16時間(ただし、1日の原則的な拘束時間は13時間) |
最大運転時間 | トラック、バス、タクシー | 原則継続8時間以上 |
連続運転時間 | トラック:原則2日平均で1日9時間、2週間平均で1週間44時間 バス:原則2日平均で1日9時間、4週間平均で1週間40時間 | |
休日労働 | トラック、バス | 4時間以内 運転の中断には、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に、1回連続10分以上かつ合計30分以上の運転をしない時間が必要。 |
・拘束時間=始業時刻から終業時刻までの時間(休憩時間を含む。) ・休息期間=勤務と次の勤務の間の自由な時間 ※ その他、拘束時間の例外や分割休息期間、2人乗務、隔日勤務、フェリー乗船などの場合の特例有り。 |
厚生労働省:自動車運転者を使用する事業場に対する平成29年の監督指導、送検等の状況を公表しますhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00652.html
- 自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況(平成29年)
- https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000340284.pdf
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」について
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000340255.pdf
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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