渋谷の社労士です
こんにちは、高山英哲です。
あなたと、本日協議するのは、
同一労働同一賃金だ。
今回は最高裁判決を取り上げて、考えていく。
「ハマキョウレックス事件」と「長沢運輸事件」の
2つの訴訟の最高裁判決が平成30年6月1日に出た。
【ハマキョウレックス事件】
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87784
【長沢運輸事件】
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87785
人事総務担当者のあなたなら、気になっていた、はずだ。
なぜなら、手当の不支給で、不合理な格差を禁じた
労働契約法20条の格差是正を求める裁判で、
最高裁が判断を示したのは、初めてだからだ。
「ハマキョウレックス事件」は物流会社だ。
ハマキョウレックス(浜松市)の契約社員である運転手が、
正社員だけに、支給されている手当を、
「契約社員にも、同じように支給しろ!」と、求めた裁判である。
そして、もう一つの、長澤運輸(横浜市)は、
定年後に再雇用として嘱託職員で採用された運転手3人が、
正社員と仕事(職務)などが、同じなのに、
「賃金格差があるのは、違法だ!」と訴えた、裁判である。
働き方改革をふまえ、同一労働同一賃金へも
目を向けなければならない、今、
あなたは、この最高裁判決に、背を向けて、
通ることは、できない。
早速、ポイントを、チェックしていこう。
そもそも【ハマキョウレックス事件】とは?
【ハマキョウレックス事件】とは、何か。
それは、5つの手当の、問題だ。
もう少し具体的にいうと、正社員に支払われていた
「無事故手当」「作業手当」「給食手当」「通勤手当」
「皆勤手当」の5つの手当が、同じ職務である契約社員に
対して支給されないのは、おかしい。
だから、正社員だけに、支給されている手当を、
契約社員だって、支給すべきだと、求めた裁判だ。
しかしながら、最高裁判決では、
二審の大阪高裁判決(2016年7月)が
認めた通勤手当など、4つに手当て加えて、
皆勤手当も支給しないのは不合理と判断。
ただし、「住宅手当」は、転勤がない契約社員に、
支給されないのは不合理ではないと、した。
【ハマキョウレックス事件】
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87784
【ハマキョウレックス事件:判決文】
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/784/087784_hanrei.pdf
長澤運輸事件、嘱託社員と手当の関係
つづいて、長澤運輸事件を、解説していく。
ハマキョウレックス事件と違うの
雇用形態が「契約社員」ではなく、「嘱託社員」だ。
定年後、嘱託職員として再雇用された、
運転手である3人が、正社員との間で、
職務などに違いがないにのに、賃金格差があるのは、
違法と訴えた裁判だ。
ちなみに、2016年5月の東京地裁判決は、
賃金格差は違法とする判決だった。
とはいえ、最高裁判決では、再雇用後の賃下げは、
長期雇用などを、予定していないことを理由に、
不合理な格差と認めなかった。
また嘱託社員の「住宅手当」「家族手当」が
支給されないことは、正社員とのあいだで
賃金格差は出るが、老齢年金が要件を満たせば、
年金受給といった、事情を考慮することで、
不合理ではない、とした。
それに対して、「精勤手当」「超勤手当」は、
趣旨を考慮すると、正社員と差があるのは、
この2つの手当に関しての不支給は、不合理だとした。
【長沢運輸事件】
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87785
【長沢運輸事件:判決文】
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/785/087785_hanrei.pdf
この2つの最高裁判決から、いえることは、何か。
それは、労契法20条から正社員との、
格差是正を加速するながれが、
透けてみえる。
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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