渋谷の社労士です
こんにちは、高山英哲です。
あなたと、本日協議するのは、「定額(固定)残業代」である。
具体的にいえば「定額(固定)残業代を考える。知っておきたい時間外部分の金額、労働時間数、差額支払い、就業規則明示の方法」だ。
最近、働き方改革のトレンドに乗っかって、さまざまな記事が書かれ
ています。
かつて、これほど長時間労働、定額残業、固定残業などについて、ズバズバ意見が出ていることはありません。
まず、この時期を逃すと、しばらく、「定額(固定)残業代」をブログでとりあげることもない。
変な感情論や、働き方、労働時間、働くことの意義・目的といったエピソードをなくし、ズバっと言い切ります。
これはやらなくていい、と歯に衣着せぬモノ言いで、合理的な運用術を真正面から説いています。
企業にありがちな、「定額(固定)残業代」が、うまくいかない要因をズバリ指摘することで、人事総務担当者にとっては、耳が痛いかもしれません。
早速、ポイントを、チェックしていこう。
定額(固定)残業代の正体
最近でも定額残業代まぐって、裁判で争われたことが、
ニュース、新聞、SNSなどで紹介されている。
そもそも、この定額残業代とはどういう制度か。
そのこたえは、ズバリ!「時間外労働などについての残業代を定額で支払う制度」だ。
時間外労働の賃金を定額の手当で支払う制度で、労動基準法で定める所定の計算方法で、算定した額を上回る限りは合法だ。
もちろん、企業が労働者に残業代を支払うときは、実際に行われた時間外労働時間に応じて支払うというのが一般的だ。
しかしながら、手当等の形で定額の残業代を支払うという制度を採る企業も多く存在します。
労働基準法の所定の残業代に代えて一定額の手当等を支払うことも、その支払額が法所定の計算により算出される残業代の額を下回らない限り適法だ。
☑ (大阪地判昭和63年10月26日 関西ソニー販売事件)
裁判例でも「労働基準法37条は時間外労働等に対し一定額以上の割増賃金の支払を使用者に命じて
るところ、同条所定の額以上の割増賃金の支払がなされるかぎりその趣旨は満たされ同条所定の計算方法を用いることまでは要しないので、その支払額が法所定の計算方法による割増賃金額を上回る以上、割増賃金として一定額を支払うことも許されるが、現実の労働時間によって計算した割増賃金額を上回っている場合には、労働者は使用者に対しその差額の支払を請求することができる。」旨判示している。
定額(固定)残業代の運用するうえで、押えておきたい、ポイントとは
それでは、定額(固定)残業代の押えておきたい、ポイントとは、何か。
そのこたえは「法定の残業代を下回ることは許されない」、ということである。
先に引用した裁判例でも述べられているが、定額残業代の支払のみで許容されるのは、あくまで、法定の額以上の残業代が定額残業代として支払われている場合だ。
現実の労働時間で計算した残業代が定額残業代を上回る場合には、その差額分を別途、残業代として支払わなければならない。
☑ 通常の賃金と定額残業代が判別できなきゃ、話にならない
もうひとつ、大切なことがある。
それは「通常の賃金と定額残業代とが判別できなければならない」、ということだ。
定額残業代として認められるためには、通常の賃金と定額残業代とが、しっかり区別されること。
つまり、「どこまでが通常の賃金」で、「どこからが定額(固定)残業代」であるのかが判別できるとが必要だ。
(最判平成6年6月13日 高知県観光事件)では、
タクシー会社の乗務員に対して支払われる、
歩合給に関する判断をした。
指摘しているのは、こうだ。
労基法上の時間外および深夜労働が行われたときにも金額が増加せず、また、右の歩合給のうちで通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできない場合には、当該歩合給の支給により時間外及び深夜の割増賃金が支払われるとすることは困難のため、割増賃金支払義務を負うむ判示している。
基本給と定額(固定)残業代の「明確な区分」。
これは、絶対に忘れては、ならない。
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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