社労士,渋谷の事務所です
こんにちは、高山英哲です。
あなと本日協議するのは「労働基準監督署「今」の調査を知る。対応力をどんどん上げる、技術」である。
平成26年11月に施行された過労死等防止対策推進法。
勤労感謝の日を含む11月を「過労死等防止啓発月間」とすることが定められた。
厚生労働省ではこの「過労死等防止啓発月間」期間とし、
長時間労働の抑制、過重労働解消に向けた周知・啓発、重点的な監督指導等の取り組みを行っている。
少し気がはやいが、今から「過重労働に関する労働行政の監督指導、その対応方法」について、考えていく。
さっそく、ポイントを、チェックしていこう。
労働者名簿(労基法107条)
まずは、労働者名簿だ。必ずチェックされる。
使用者は、①事業場ごとに、②各労働者について、労働者名簿を作成しなければならない。
「事業場ごと」であるので、本社・支社など事業場が複数ある場合には、それぞれ別個に作成する必要がある。
なお、「各労働者について」とありますが、日雇労働者についてはその移動が激しく現実的でないために作成義務は課せられない(賃金台帳の作成は必要)。
この労働者名簿には、労働者の氏名、生年月日、履歴のほかに、常時30人以上の事業においては従事する業務の種類などについて記載する。
書き方も簡単だ。今すぐ、チェックしょうよう。
賃金台帳(労基法108条)
続いて、賃金台帳だ。最近は細部まで指摘される。
賃金台帳についても労働者名簿と同様、事業場ごとに作成し賃金の支払いのつど遅滞なく記入しなければならない。
なお賃金台帳に記載すべき必要事項は次のとおりだ。
「✓」賃金額
「✓」氏名
「✓」性別
「✓」賃金計算期間
「✓」労働日数
「✓」労働時間数
「✓」時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
「✓」基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
「✓」社会保険料などの賃金控除額など
労働者名簿の記載事項との重複を避け、事務上の簡素イ匕を図るために、労働者名簿と賃金台帳をあわせて作成は認められている。
就業規則(労基法89条)
就業規則は周知されているか、いなかもポイントが。
作成がまだの会社は、今すぐ、とりかかろう。
常時10人以上の労働者を使用する事業場では就業規則を作成し、①常時各作業場の見やすい場所への掲示または備え付け、②書面の交付、③パソコン等で常時閲覧可能な体制の整備、いずれかの方法により労働者に周知しなければならない(労働基準法施行規則〔以下、労基則〕52条の2)。
また就業規則を作成・変更した場合は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴取した上、その意見を添えて所轄の労働基準監督署長に届け出をしなければならない。
なお、契約社員、パート等に正社員の就業規則を適用しない場合には、契約社員用、パート用の就業規則を別途作成、周知しておく必要がある。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118951.pdf
時間外・休日、深夜労働割増賃金の支払い(労基法37条)
最後は、割増賃金支払いについてだ。調査が入った場合は絶対チェックされる。
法定労働時間を超えて労働させた場合、法定休日に労働させた場合および深夜に労働させた場合には、法定の割増賃金(時間外25%以上〔大企業につき月60時間超の部分は50%以上〕、休日35%以上、深夜25%以上)を支払わなければならない。
あなたの知ってのとおり、ここは、最初に押えておくこと。
裁量労働制適用対象の労働者についても、法定労働時間を超える時間労働したものとみなす場合には、時間外割増賃金を支払う必要がある。
もちろん法定休日、深夜に労働させた場合には休日、深夜割増を支払う必要がある。また、労基法41条2号が定める管理監督者は、労働時間等の規制の適用外とされている。とはいえ、深夜割増については支払う必要がある。
臨検時には、絶対、賃金台帳とタイムカード等の労働時間に関する記録の提出が求められる。両者を照合した結果、実際の賃金の支払い状況と労働時間に関する記録との間に食い違いがあれば、その理由を問われることになる。
私が同席した場合、この瞬間は、毎回、冷や汗がながれる。
必ずしもタイムカード等が、労基法上の労働時間(実労働時間)を表すわけではない。しかしながら、食い違いの理由を合理的に説明できなければ、労働者と面談するなどして実際の労働時間を確認し、未払いの割増賃金を支払うよう指導される可能性が高い。
労基法115条により賃金債権の時効は2年間だ。
このことから、最大2年間遡及(そきゅう)して未払いの割増賃金を支払うよう指導がなされる可能性もある。
したがって、労務管理上、労働時間であるのか、そうではないのかの区別を明確にし、タイムカード等も正確に記録しておく必要がある。さらに、不必要に事業場に滞留させないようにすべきだ。
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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