渋谷の社労士です。
こんにちは、高山英哲です。
あなたと、本日協議するのは「過重労働に関する
労働行政の監督指導、その対応方法」についてである。
長時間労働に悩む、飲食業・外食産業の担当者である、あなたなら気になるであろう。
ここ数年、行政による過車労働対策の動きはめまぐるしい。
端的にいえば、次のとおりだ。
●平成26年11月の過労死等防止対策推進法の施行
●平成27年4月の「1咼車労働撲滅特別対策班」(通称「かとく」)の新設
●平成28年4月からの月残業100時間超から80時間超の事業場への重点監督対象の拡大
昨年だって「過重労働解消キャンペーン」として過重労働に対する重点監督が実施された。
【厚生労働省】過重労働解消キャンペーン
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign.html
さらに、労働基準法などの違反が疑われる事業場の
情報をメールでも、受付している。
あなたは、ご存知だろうか?
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/mail_madoguchi.html
ケースにより、正社員、パート、アルバイト、契約社員からのメールでの申告によって、
あなたの店舗が、労働基準法違反で疑われる可能性もある。
わざわざ、行政へ足を運ばず、早朝、深夜、休日を問わず情報提供ができる、ということだ。
今、このブログをお読みの飲食業・外食産業経営者で「そんなこと知っているし、全然、気にならない」といった方は、いないだろう。
そこで今回は、あなたと、「過重労働に関する労働行政の監督指導、その対応方法」について、考えていく。
さっそく、ポイントを、チェックしていこう。
行政が過重労働を許さない、理由
過重労働は、疲労の蓄積をもたらす重要な要因だ。
日本の労働者1人当たりの労働時間は、減少傾向にあるものの、いまだ長時間労働の実態がある。
とくに、脳・心臓疾患等に係る労災保険給付を決定した支給決定件数についても毎年300件前後だ。
平成28年度「過労死等の労災補償状況」を公表
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000168672.html
過重労働による労働者の健康障害を防止するため、長時間労働の是正は喫緊の課題とされている。
昨今少子高齢化が進展している。
女性の社会進出促進、育児・介護と仕事との両立促進、
経済の好循環の実現等の観点をふまえ長時間労働是正の重要性が増している。
これには、あなたも、理解できる、はずだ。
ご存知のとおり平成28年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」。
このなかで、少子高齢化対策、持続的な経済成長の実現等の観点から働き方改革の一つの柱として「長時間労働の是正」が盛り込まれた。
つまり、労働基準行政は、労働基準関係法令に基づく最低限の労働条件の確保に加え、労働条件の実現に向けた行政運営を行うとの方針が示されている(「平成28年度地方労働行政運営方針」平28. 4. 1 地発0401第11 ・基発0401第71等)。
こうした状況が、行政が過重労働を許さない、といった理由だ。
行政の本気度が、すけて見える、重点対策
ここからは最近の行政のうごきを解説する。
まず、過労死の問題で、平成26年6月に過労死防止法が成立(平成26年11月施行)、そして平成27年7月には同法に基づく「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が閣議決定された。
この大綱では、国が取り組まなければならない重点対策はなにか?
ズバリ!「長時間労働の削減のための周知・啓発の実施」だ。
このなかで言っていることは、こうだ。
「過重労働、賃金不払残業の疑いがある企業等に対しては、労働基準監督署の体制を整備しつつ監督指導等を徹底しななさい」
さらに、36協定の労働者への周知の徹底「労働時間の適正な把握のために使用者が講すべき措置に関する基準」(平13. 4. 6 基発339。以下、4月6日付通達)の周知・啓発活動もやりなさい、といっている。
今までにない、最強の管理体制と、4つの取り組み
ここからは、あなたと、長時間労働をめぐる
状況の変化を受けた監督指導体制をチェックだ。
引き続き解説しょう。
こうした長時間労働をめぐる状況の変化を受け、厚生労働省の労働基準局、都道府県労働局など労働基準行政は長時間労働を是正するべく監督指導体制の強化した。
☑チェックポイント1:厚生労働省内「長時間労働削減推進本部」を立ち上げ
平成26年9月、省内に厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を立ち上げた。
さらにその下に過重労働対策を担う「過重労働等撲滅チーム」を編成した。「撲滅チーム」と、聞くだけでも、けっこうな会社受けるプレッシャーは、はかりしれない。
平成26年11月には、長時間労働削減推進本部の指示で「過重労働解消キャン ペーン」。
これは長時間にわたる過重な労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場、若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対する重点的な監督指導だ。
加えて、平成27年1月より、月100時間を超える時間外労働が疑われるすべての事業場に労働基準監督署による監督指導(立入調査)を徹底。
平成28年4月からは、重点監督の対象を、月100時間を超える時間外労働が疑われる事業場(年間約1万事業場)から、月80時間を超える時間外労働が疑われる事業場(年間約2万事業場)に拡大した。
ここまでの実績をみていくと、あたは、どのような気持ちに、なるか。
決して危機感をあおるわけではないが、マジで対策を考えなきゃヤバイと思うだろう。
☑チェックポイント2:東京労働局、大阪労働局「過重労働撲滅特別対策班」の仕事内容
過重労働に係る大規模事案・困難事案等に対応で、平成27年4月に東京労働局および大阪労働局に「過重労働撲滅特別対策班」(通称「かとく」)が新設された。
この「かとく」、新聞、マスコミで、あなたの目にも、飛び込んできたはずだ。違法な長時間労働で、全国展開する大企業の役員・従業員らを労働基準法(以下、労基法)違反容疑で書類送検した。今後も気になる。
☑チェックポイント3:「かとく」全国展開!最強の「過重労働特別監督監理官」の新設
平成28年4月からは「かとく」を全国展開。
都道府県労働局に長時間労働に関する監督指導等を専門に担当する「過重労働特別監督監理官」が1人ずつ配置された。
同時に、厚生労働本省内に「過重労働撲滅特別対策班」(通称「本省かとく」)が新設された。
本省かとくは、企業本社への監督指導・労働局の行う広域捜査活動を迅速かつ的 確に実施できるよう都道府県労働局に対し、必要な指導調整を実施することとされている。
☑チェックポイント4:企業名を公表することの、意味
取り組みの最後は、企業名の公表だ。
厚生労働省は平成27年5月18日都道府県労働局長へ社会的に影響力のある企業が違法な長時間労働を複数の事業場で繰り返す場合、早期是正を指導を目的とし企業名を含め、その事実を公表するよう方針を示した。
この公表は、企業にとっては、ダメージを受ける、
ここまで、踏むこむのは、どうしてか?
労働基準監督署による監督指導には限界があるためだ。
しかしながら、狙いは、企業名公表というペナルティを課すことではない。
企業に自主的な改善を促すことだ。
これにより、労基法違反等の被疑事件(刑事事件)として
書類送検される前に、企業名が公表されることとなった。。
厚生労働省と労働局が連携して、見えてくるものは?
以上述べたとおり、厚生労働省と労働局が連携し、
監督指導体制の強化が図られている。
これにより広域で事業を展開する企業の本社等に対する臨検・指導の可能性が増している。
こうした全社的に対応する必要性が高まっていることを踏まえ
あなたの店舗でも、労務管理体制の構築をすすめてほしい。
厚生労働省:過重労働解消キャンペーン
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign.html
厚生労働省:過重労働の撲滅に全力で取り組み
http://www.mhlw.go.jp/photo/2015/04/ph0401-02.html
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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