渋谷区の社会保険労務士です。
こんにちは、高山英哲です。
本日、あなたと、協議するのは「働き方改革:中小企業の「時間外労働の上限規制」適用」である。
今の日本で、抱えている課題は何か。
それは生産年齢人口の減少と地方人口の流出だ。
社会全体の労働参加率と労働生産性を向上させる必要がある。これはあなたも、わかるだろう。その解決策として、叫ばれているのが「働き方改革」だ。今後ますます、重要性が一層増している。
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177380.html
今年に入り、働き方改革における「時間外労働の上限規制」および「同一労働同一賃金」に関して「中小企業への適用については当初予定から1年延期する」との報道があった。
先日、厚生労働省が関連改正法案の原案(当初の改正法案を修正したもの)を自民党に対して示していた。「同一労働同一賃金」に関しては大企業も1年延期(2020年4月から適用)となるようだ。
いま、このブログをお読みの、あなたは、どうだろうか。
「時間外労働の上限規制は、まだまだ先だよぉー」と思いながらも。。「上限規制をすることで、社内で混乱を招くかも。。」そんな思いを、抱えている方も、少なくないだろう。
そこで、今回はあなたと「働き方改革:ここまでわかった中小企業の「時間外労働の上限規制」適用は2020年4月から」を焦点に、解決へ向けたゴールへ走り出すことと、する。
事例も交え、私たちで、ステップ・バイ・ステップで、協議をしながら、すすめていく。特に今までの考えがなかった場合、必ず大きなギフトを、得るはずだ。果たして、「時間外労働の上限規制」は、中小企業はうまく、運用できるか。
結論は、ブログを読んあとの、お楽しみ、ということで、早速すすめていく。
【別 添】労働政策審議会答申(PDF:650KB) |
【参考1】働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(PDF:274KB) |
【参考2】労働政策審議会各分科会・部会委員名簿(PDF:230KB) |
ステップ1 法律案要綱の正体、その姿とは
厚生労働省が、平成29年9月8日に、労働政策審議会(会長 樋口美雄 慶応義塾大学商学部教授)に諮問した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」。
労働政策審議会の各分科会・部会で審議が行われた結果、同審議会から加藤勝信厚生労働大臣に対して別添のとおり答申が行われた。
法律案要綱は次のとおりだ。
1-1.働き方改革の総合的かつ継続的な推進
働き方改革に係る基本的考え方を明らかにするとともに、国は、改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」(閣議決定)を定めることとする。(雇用対策法)
1-2.働き方改革実行計画で示された11のテーマ
1. 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
2.賃金引上げと労働生産性向上
3.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
4.柔軟な働き方がしやすい環境整備
5.女性・若者の人材育成など活躍しやすい環境整備
6.病気の治療と仕串の両立
7.子育て・介護等と仕串の両立、障害者の就労
8.雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援
9.誰にでもチャンスのある教育環境の整備
10.高齢者の就業俘進
11.外国人材の受入れ
1-3.法律案要綱
平成29年9月に出された法律案要綱において、改正が予定されることになった法律案は、以下の八つの法律だ。
法律案要綱は、平成27年の第189回通常国会に提出されて継続審議となっていた労働基準法等の改正案(平成29年9月28日の衆議院解散で審議未了のため廃案)の内容を一部見直し、同一労働同一賃金などの関連する法律の改正を一本化する形となった。
1. 労働基準法
2. じん肺法
3. 雇用対策法
4. 労働安全衛生法
5. 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)
6. 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(労働時間等設定改善法)
7. 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)
8. 労働契約法
1-4.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
(1) 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)
・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
※自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。研究開発業務について、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、時間外労働の上限規制は適用しない。
・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。また、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。
・企画業務型裁量労働制の対象業務への「課題解決型の開発提案業務」と「裁量的にPDCAを回す業務」の追加と、高度プロフェッショナル制度の創設等を行う。(企画業務型裁量労働制の業務範囲を明確化・高度プロフェッショナル制度における健康確保措置を強化)
(2) 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
・事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。
(3) 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
・事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。
1-5 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
(1) 不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
・短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。併せて有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。派遣労働者について、(a)派遣先の労働者との均等・均衡待遇、(b)一定の要件※を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。
(※)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等
(2) 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
・短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。
(3) 行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
・(1)の義務や(2)の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。
1-6 【施行期日】
1:公布日
2:平成31年4月1日(2の(1)中小企業における割増賃金率の見直しは平成34年4月1日)
3:平成31年4月1日(中小企業におけるパートタイム労働法・労働契約法の改正規定の適用は平成32年4月1日)
ステップ2 関連事項の中小企業主の60時間を超える、時間外労働に対する割増賃金率の、適用の猶予措置の廃止
引き続き、関連事項の法律案要綱などをみてみょう。
中小事業主に対する1箇月について60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の適用
ずばり言うと「中小事業主に対する1箇月について60時間を超える時間外労働に対する通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金の支払義務の適用猶予に係る規定を廃止」するという、ことだ。
労働基準法37条1項ただし書きにおいては、1ヵ月60時間を超える時間外労働をした場合、その超えた時間に対して通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払うことが定められていた。
とはいえ、平成22年の改正で当該規定が定められた際に中小事業主に対しては、「当分の間」は当該規定を適用しないと定められ(労働基準法附則138条)、しばらくの間、中小事業主に対する猶予措置が図られていた。
今回の法改正で、その猶予措置が撤廃され、中小事業主であっても、他の事業主同様、1ヵ月60時間を超える時間外労働をした場合、その超えた時間に対して通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払うこととなった。
中小企業主は、今すぐ、社内体制を整え、準備をする必要がある。
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177380.html
【別 添】労働政策審議会答申(PDF:650KB) |
【参考1】働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(PDF:274KB) |
【参考2】労働政策審議会各分科会・部会委員名簿(PDF:230KB) |
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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