渋谷区の社会保険労務士です。
こんにちは、高山英哲です。
あなたと、今日、学ぶことは「副業と兼業」についてで、ある。
副業、兼業を認めている企業は少ない。
なぜか?
それは本業に集中できないことが、一番の理由だろう。
しかしながら、政府は副業・兼業で所得増加や新たな事業創出につながるとの期待をしている。
この考えは、本業と副業を合わせた労働が、将来に向かってのスタイルである。
弊所へも「副業・兼業」の相談が増加している。そのたび、人事労務担当者と協議を重ねている。
これを今、お読みのあなたは、「今、うちの従業員から、副業・兼業を希望する者は、いない。。」と思いながらも、「もし、競業会社、近隣のライバル会社へ副業・兼業を希望をする者が、出てきたら、どうしょう。。」と。そんな思いを抱えているのでは、ないだろうか。
当然、就業規則の変更、労働条件の見直しも、ある。
そこで、今回はあなたと「副業と兼業、就業規則の運用で古い考え方を、リセットする方法」を、ご案内する。
私からの提案は、シンプルだ。
あなたと一緒に、私たちで、ステップ・バイ・ステップで、意見交換をする。
私たちで「副業・兼業」を考えていく、こととする。
特に今まで「副業・兼業」を、全く考えていなかった場合、実践して頂ければ驚くほどの成果を得られるはずだ。ぜひ参考にして欲しい。
それでは、早速、すすめていく。
ステップ1= 副業と兼業の正体、その姿とは、何か
そもそも「副業」とは、週末起業、クラウドワークスなど「本業以外に収入を得る手段・仕事のすべて」のことだ。
政府は副業は「働き方改革」の一環で、企業側の容認を推進している。
推進の目的は、何か?
そのこたえは、2つだ。
ひとつ目は「少子高齢化に伴う労働力不足の補完」。
ふたつ目は「働き手の収入増やスキルアップでの生産性向上」だ。
1-1 労働基準法、労働契約法と「兼業・副業」の関係
労働基準法や労働契約法上、兼業・副業の禁止規定を設けることに一般的な規定は存在しない。
よって、兼業・副業の禁止規定を設ける場合、各企業の就業規則等がその根拠となる。
1-2 民間企業と公務員
民間企業に勤務する一般社員は、公務員とは異なる。
労働基準法や労働契約法上、社員の兼業・副業を禁止・制限する一般的な規定は存在しない。
なお、公務員は兼業・副業を禁止・制限する法律上の一般的な規定が存在する(国家公務員法101、103、104条、地方公務貝法38条)。よって民間企業に勤務する一般社員の兼業・副業の禁止・制限は、各企業の「就業規則の規定等」がその根拠規定となる。ここは押さえておこう。
1-3 「兼業・副業」の今後の方向性は?
従業員の兼業・副業は、理論上は、「実務上の原則禁止」の取り扱いとは異なり「原則自由」だ。
具体的な支障がある場合に限って制限できるというだ。
要するに、私がいいたいとは「社員の兼業(副業)は原則として認める」ということだ。
理論上は、禁止すべき事由がない限り、兼業・副業は制限できないという、取り扱いなる。
1-4 「兼業・副業」の今後の方向性は?
昨今、政府は「働き方改革」として社員の兼業(副業)を後押している。
それゆえ社員の兼業・副業を原則容認する方針を示しはじめている。
厚生労働省のモデル就業規則において兼業・副業は原則禁止・許可規定が設けられていた。
しかしモデル就業規則からも兼業・副業の原則禁止・許可規定は削除された。
少し前であれば、考えられない、ことである。
ステップ2= 副業と兼業、赤ペン、チェック
あなたは、ここまでで、「副業・兼業」の正体、そして姿を、理解できた。
ここからは、気なる点を、チェックしていく。
2-1 知っておきたい「兼業・副業」の課題
副業・兼業を希望する者は年々増加傾向だ。その理由は、何か。
たくさんあるが「自分がやりたい仕事」「キルアップ」「資格の活用」「十分な収入の確保」等が、理由だ。
しかし、多くの企業では、副業・兼業を認めていない。企業が副業・兼業を認めるにあたっての課題・懸念は、自社での業務がおろそかになる。さらに情報漏洩のリスク、競業・利益相反などもあげられだろう。
副業・兼業に係る就業時間や健康管理の取扱いのルールがわからないとの、意見もある。
副業・兼業自体への法的な規制はない。とはいえ厚生労働省が示しているモデル就業規則では、労働者の遵守事項で「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定がある。
裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、労働者の自由だ。各企業で制限することが許されるのは、それが労務提供上の支障となる場合、企業秘密が漏洩するなど企業秩序に影響が生じる場合、信頼関係を破壊する行為がある場合、競業に当たる場合とされている。
2-2 「兼業・副業」のメリットに、迫る
続いて「副業・兼業」の労働者と企業のメリットを考える。労働者のメリットは次の4点だ。
①離職せずとも別の仕事に就<ことが可能となり、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。
②本業の安定した所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。
➂所得が増加する。
④働きながら、将来の起業一転職に向けた準備ができる。
企業のメリットは3点だ。
①労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる。
②優秀な人材の獲得一流出の防止ができ、競争力が向上する。
③労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。
副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段としても有効だ。
したがって自身の能力をー企業にとらわれずに幅広く発揮したいという希望を持つ者が、副業・兼業を行える環境を整備することが重要だ。長時間労働を招かないよう留意し3点の対応も必要である。
①厚生労働省で示しているモデル就業規則の規定を、労務提供や会社の信用・評価に支障が生じる場合等以外は副業・兼業を認める方向で改めること
②労働者と企業それぞれの留意点とその対応方法を示すこと
➂労働者が副業・兼業を実現している好事例を共有していくこと
ステップ3= 就業規則(副業・兼業)の改定
最後に、副業・兼業の条文を検討する。
まず、(遵守事項)をみていく。ここは、条文を加えることだ。
(遵守事項)
第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。
①許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。
②職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。
③勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
④会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
⑤在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。
⑥許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。
⑦酒気を帯びて就業しないこと。
⑧その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと。
続いて、労働者の遵守事項だ。
副業・兼業に関する規定(「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」)を削除し、以下の規定を新設しょう。
(副業・兼業)
第○○条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3第1項の業務が第11条第1号から第5号に該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
あなたの会社の、改善の一助になれば幸いである。
最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。
渋谷の社会保険労務士の高山英哲でした。
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