渋谷区の社会保険労務士の高山英哲です。
私たちの社会では、あるいは職場では、ありとあらるゆ問題が発生している。そのひとつが、職場のいじめ・嫌がらせである。
私がサラリーマン時代の職場でも、大なり小なり問題はあった。近年職場でのいじめや嫌がらせの問題は増加傾向にある。暴言や仲間外しといった言動にかぎらず、業務上の指導であったとしても、適正な範囲を超えると「パワーハラスメント」となる。
あなたの職場の中では、どうだろうか。
パワーハラスメントは誰もが当事者になり得る可能性がある。傷つけられた被害者はもちろん、職場全体の士気や生産性を低下させるとも言われている。
とはいえ優秀なあなたなら、背を向けて通り過ぎることはできないだろう。なぜならば職場の一人ひとりがそれぞれの立場でパワーハラスメントを未然に防ぐ意識を共有しなければ解決できないからだ。
そこで今回は私とあなたで「職場のいじめ・嫌がらせの対策方法」について『超』入門として本質を考えていく。
職場のパワーハラスメントの正体
残念ながら、多くの日本企業では深刻な問題と抱えているにもかかわらず、職場のパワーハラスメントの正体(定義)を理解していないのが現状である。そこでまず定義から整理してみよう。端的にいえば次のとおりだ。
職場のパワーハラスメントとは
職場のパワーハラスメントとは同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
職場内での優位性
パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせをさして使われる場合が多い。ゆえに先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもある。「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれる。
業務の適正な範囲
業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントにはあたらない。例えば、上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められる。
職場のパワーハラスメント対策は、そのような上司の適正な指導を妨げるものではなく、各職場で、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、その範囲を明確にする取組を行うことによって、適正な指導をサポートするものでなければならない。
加害者の法的責任
こうした定義を知ることで、次の検証プロセスへと移ることができる。抱えている問題を解決するためには、問題がどこにあるのかを分析して原因を解明しそれを解消しなければならない。
必ず出てくるといっていいのは法的責任である。加害者の法的責任、使用者の法的責任をそれぞれ確認することとする。
①加害者の法的責任
不法行為責任に基づく損害賠償責任を問われることがあります(民法第709条)。また、場合によっては刑事上の責任を追及されることもあります。
②使用者の法的責任
使用者は、上司などが業務に伴っていじめを行った場合には、「使用者責任」が問われることがあります(民法第フ15条)。また、使用者がいじめを防止できなかった場合には、労働者への安全配慮義務違反・職場環境配慮義務違反とされ債務不履行責任を問われることがあります(労働契約法第5条、民法第415条)
職場でいじめや嫌がらせがあった場合の対応
最後は対応策だ。
抱えている問題を解決するためには、問題がどこにあるのかを分析して原因を解明しそれを解消しなければならない。
①被害を受けた方
上司や人事労務担当者など、会社の中で相談できる人や社内の相談窓口に相談しましょう。その際、いつ、だれに、どのような被害を受けたのかなどについて記録しておくと今後の対応に有効です。会社の中で相談しづらい場合は、労働相談情報センターにご相談ください。
②使用者や組織を管理する立場にある方
いじめや嫌がらせの相談を受けたら、放置せず、職場全体の問題として取り組む姿勢が求められます。具体的には、関係者から意見を聴取して客観的な事実関係を把握し、問題解決に主体的に取り組むことが大切です。その際、プライバシー保護に十分配慮すると共に、当事者に随時経過を報告するなど、誠意ある対応が必要です。社長や上司の立場にある方がいじめや嫌がらせを生じさせない姿勢を明確に示して取り組むことが何よりも大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
社会保険労務士、渋谷区の高山英哲でした。
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