飲食店における労働災害の発生状況
休業4日以上となる重大な労働災害の発生は全産業では減少傾向です。
ただし飲食店においては、平成19年から平成23年度についてみると
約4,000件前後で推移する横ばい状態が続いています。
最も多い事故は「転倒」
飲食店で発生する事故の約27%は「転倒」が占めており、
このうち約半数を「滑り」が、約3割を「つまずき」が占めています。
事故の発生状況をみると、「物の運搬中の転倒」が最も多く、材料や料理、
ゴミなどの運搬中に、水や油で濡れた床に滑って転倒していることや、
足元が暗かったり障害物があったりしてつまずいて転倒していることがわかります。
刃物等による「切れ・こすれ」も多い
また、事故の約25%は「切れ・こすれ」が占めておこのうち約4割を刃物が、
約3割を割れた食器などが占め、残る約3割については缶の蓋の鋭利な部分で
切ったり食料品加工機械を使った作業中に切ったりする災害が占めています。
事故の発生状況をみると、作業中に起きているものがほとんどですが、よそ見をしていたり
安全な状態にない刃物を放置していたり、不適切な方法で機械操作を行ったりなど、
安全策をきちんと講じていれば防ぐことができたと思われるケースもあります。
災害防止の基本は「4S活動」
パートやアルバイト等が多い飲食店では、比較的短期間で従業員が入れ替わるため、
経験不足の従業員が安全な作業方法や安全な職場環境の保ち方を知らないことがあります。
新米従業員の採用時や異動時に「整理・整頓・清掃・清潔」の「4S活動」を徹底させるほか、
ベテラン従業員に対しても常に意識付けすること等により、職場全体で取り組むことが必要です。